【債務の特定】
債務承認弁済契約において、借入金債務を特定するときは、次のような形で債務を特定します。
(1)金銭消費貸借契約に基づき単発の貸付が行われたものの、貸付金が一部でも返済されておらず、個別の貸付時期が明らかな場合
⇒貸付の目的、借入金債務の総額及びその債務の発生原因となる金銭消費貸借契約の成立時期を要素として特定することになります。
(2)複数回にわたり金銭消費貸借契約に基づき貸付が行われたものの、貸付金が一部でも返済されておらず、個別の貸付時期が不明な場合
⇒貸付の目的、借入金債務の総額、貸付が行われた期間及び貸付回数を要素として特定することになります。
【相殺の合意】
例えば、甲が乙に対して金200万円の貸金債権を有し、反対に乙が甲に対して金150万円の売掛債権を有していた場合、支払いの便宜のため、当事者双方において相殺が行われることがあります。
この場合、債務承認弁済契約においては、次のような処理がなされます。
(1)乙が甲に対して金200万円の借入金債務があることを認める。
(2)甲が乙に対して金150万円の売買代金債務があることを認める
(3)上記(1)と上記(2)の債務を対当額で相殺する。
(4)乙が甲に対して上記(4)の相殺後の残債務額金50万円を支払う。