【債務の特定】

債務承認弁済契約において、不貞行為に基づく損害賠償債務を対象とするときは、次のような形で債務を特定します。

 

(1)1回のみ不貞行為があったことに基づき債務者が損害賠償債務を負うことになったものの、個別の不貞行為時期が明らかな場合

⇒不貞行為があった旨、損害賠償債務の総額及び不貞行為時期を要素として特定することになります。

 

(2)複数回にわたり不貞行為があったことに基づき債務者が損害賠償債務を負うことになったものの、個別の不貞行為時期が不明な場合

⇒不貞行為があった旨、損害賠償債務の総額、不貞行為が行われた期間及び不貞行為回数を要素として特定することになります。

 

 

【陳謝】

不貞行為に基づく損害賠償債務を対象とした債務承認弁済契約においては、次のような形で債務者が債権者の配偶者と不貞行為を行ったことについて債務者から債権者へ陳謝する旨の条項が規定されることが多いといえます。

 

「・・・精神的苦痛を与えたことを認め、深く陳謝する。」

 

ただ、このような規定だと、(1)将来債務者が債権者に対して陳謝することを義務付けたものか、それとも(2)債務承認弁済契約上で陳謝の意思表示を済ませたのかが不明確になるため、こちらの(2)の意味で陳謝をする場合には、次のように過去形で規定することがあります。

 

「・・・精神的苦痛を与えたことを認め、深く陳謝した。」