【執行証書に基づく強制執行】
公正証書のうち、金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成したものであり、かつ、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(=このような公正証書のことを執行証書といい、確定判決等と同様に債務名義となります。)については、債務者が金銭債務を履行しないときは、債権者は、債務者の財産に対して強制執行することができます。
ただ、公正証書の中には、錯誤無効となり得る場合、すでに債務者が債権者に対して弁済済みの場合等そのまま強制執行を認めるわけにはいかないことがあります。
そこで債権者からの執行証書に基づく強制執行に関し、民事執行法上、債務者には、下記の対抗手段を取ることが認められています。
【請求異議の訴え】
請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その執行証書による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができます。
【執行文付与に対する異議の申立て】
執行証書の形式的要件に瑕疵があるにもかかわらず、公証人が執行文を付与したときは、債務者は、異議の申立てを行うことができます。
【執行文付与に対する異議の訴え】
事実到来執行文又は承継執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて、異議のある債務者は、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができます。